
仮面銀行マンk黒田哲也です。
私は以前、
「AIが世界の金利を上げ始めたのではないか」
という話をしました。
AI企業が巨額のデータセンター投資を始め、
大量の社債を発行し、
世界のお金を取り合い始めている。
その結果、
長期金利にも上昇圧力がかかるのではないか。
そんな話です。
ところが、
10月5日。
日本銀行の内田副総裁が、
「AI、ビッグデータと金融政策」
という講演を行いました。
そして、その中で、
非常に重要なことを言っています。
AIは自然利子率に影響する可能性がある。と。。。
ここまで来ました。
AI革命は、
株価だけを変える話ではなくなってきたんです。
第1章
Kが追ってきた「次の不足」
これまで、このチャンネルでは、
AI革命を企業名ではなく、
「次に何が足りなくなるのか」
という視点で追ってきました。
最初は、
COMPUTE。
GPUです。
↓
次に、
MEMORY。
HBM。
↓
NETWORK。
↓
POWER。
↓
WATER。
↓
LAND。
そして、
AIインフラ投資が巨大化すると、
次に必要になったのが、
CAPITAL。
資本です。
さらに、
大量のお金を調達すれば、
当然、
そのお金には値段がつく。
だから、
COST OF CAPITAL。
資本コスト。
そして前回、
さらに一段進みました。
結局、
何十兆ドルも投資して、
利益を生み出せるのか。
↓
RETURN ON CAPITAL
投下資本利益率です。
ここまでが、
これまでの地図でした。
第2章
今日、さらに一段先が見えてきた
今回、
日銀の講演によって、
この先にもう一つ、
非常に大きな概念を置けると思います。
それが、
AI RATE REGIME
です。
日本語にすれば、
AIが金利構造そのものを変える時代
です。
ここは、
「次の不足マップ」が、
単なるAI産業地図から、
マクロ経済の地図へ変わる瞬間
だと思います。
第3章
日銀副総裁は何を言ったのか?
今回の講演で、
内田副総裁は、
AIについて大きく4つの影響を挙げています。
一つ目。
AIは巨大な需要を生み、
経済や物価を押し上げる。
二つ目。
AIは生産性を高め、
資本蓄積を促す可能性がある。
そして、
それが
自然利子率に影響する可能性がある。
三つ目。
AI関連企業が大量の社債を発行することで、
長期金利を押し上げる圧力になる。
四つ目。
AIは労働市場そのものを変える。
つまり日銀は、
AIをもう単なる
「テクノロジーの話」
として見ていません。
金融政策を左右する、
マクロ経済変数
として見始めています。
第4章
「自然利子率」とは何か?
ここが今日、
一番大切なところです。
でも、
自然利子率。
難しい言葉ですよね。
ものすごく簡単に説明します。
経済の「ちょうどいい金利」
例えば、
車を運転しているとします。
アクセルを踏みすぎると、
スピードが出過ぎる。
ブレーキを踏みすぎると、
車が止まる。
経済も同じです。
金利が低すぎると、
企業がお金を借り、
設備投資をし、
住宅を買い、
景気が過熱しやすくなる。
逆に、
金利が高すぎると、
企業は投資をやめ、
住宅も買いにくくなり、
景気が冷えていく。
では、
アクセルでも、
ブレーキでもない。
景気を加速も減速もさせない金利
がある。
その「経済にとって中立的な実質金利」を、
自然利子率と呼びます。
日銀自身も自然利子率を、
経済・物価に対して中立的な実質金利の水準
と定義しています。しかも、これは直接観測できる数字ではなく、推計にはかなり幅があります。
第5章
なぜAIで自然利子率が上がるのか?
では、
なぜAIで、
この「ちょうどいい金利」が
上がる可能性があるのでしょうか?
ここが面白いところです。
例えば、
企業が100億円持っているとします。
AIがなかった時代。
新しい工場を作っても、
期待リターンは3%。
だったとします。
ところが、
AIによって生産性が大きく上がり、
100億円投資すれば、
5%、7%、10%の利益が狙える。
そうなったら、
企業はどうするでしょう?
投資しますよね。
お金を借ります。
データセンターを作ります。
GPUを買います。
発電設備を確保します。
つまり、
AIで資本の期待収益率が上がる
企業がお金をもっと欲しがる
↓
資金需要が増える
↓
経済全体の均衡金利も上がる可能性がある
ということです。
非常に簡単に言えば、
儲かる投資先が増えると、お金の値段も上がりやすくなる。
これが、
AIと自然利子率をつなぐ考え方です。
第6章
これは「中央銀行が利上げする」という話ではない
ここは絶対に区別してください。
「AIで自然利子率が上がる」
イコール、
「日銀がAIのせいで利上げする」
ではありません。
自然利子率というのは、
もっと深いところにある、
経済の基礎体温のようなものです。
中央銀行の政策金利は、
その上に乗っています。
例えば、
経済の自然利子率が上がっているのに、
政策金利を昔と同じ水準に置いておけば、
思った以上に金融政策が緩くなってしまう可能性があります。
逆もあります。
だから中央銀行は、
自然利子率が変わっていないかを、
非常に注意して見るんです。
第7章
AI設備投資から「金利レジーム」まで
では、
全部つなげてみます。
AI需要拡大
↓
GPU・データセンター需要増加
↓
電力・送電・冷却能力が不足
↓
巨額の設備投資
↓
資金需要増加
↓
社債発行増加
↓
長期金利への上昇圧力
↓
資本コスト上昇
↓
その投資は本当に利益を生むのか?
↓
RETURN ON CAPITAL
そして、
その投資が生産性そのものを高めれば、
↓
自然利子率
へ影響する可能性がある。
そして、
もしこの変化が一時的ではなく、
長期間続くなら、
↓
AI RATE REGIME
AIによって金利構造そのものが変わる時代
というところまで見えてきます。
仮面銀行マンk黒田哲也でした。


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