「給料が上がったはずなのに、手取りが思ったより少ない…」そう感じている方は少なくないはずです。
その原因の一つが、「社会保険料のステルス増税」です。
社会保険料のカラクリをちょっとだけお話しします。
1.過去20年で大幅増した社会保険料
社会保険料は、過去20年間で大幅に引き上げられてきました。
厚生年金保険料率:
2004年の13.934%➡18.3%に上昇。
協会けんぽ保険料率(40歳以上、介護保険料込):9.31%➡11.6%に上昇。
例えば年収600万円のサラリーマンの場合、
20年前は約140万円
現在では約180万円
です。
つまり、同じ年収でも年間約40万円も多く支払っていることになるのです。
2.「会社負担」という名の見えない負担
さらに、私たちが支払っている社会保険料の半分は「会社負担」という形で給与明細には
記載されていません。
しかし、これは会社が負担しているのではなく、本来私たちが受け取るべき給与の一部が「見えない化」されているだけなのです。
会社にとっては人件費なのですから。
つまり、給与明細に記載されている金額は、実際に負担している額の半分に過ぎないということです。
3.払った保険料は一体どこへ?
厚生年金の場合、私たちが支払った保険料の約半分(つまり会社負担分)は、
将来の年金給付のために積み立てられているわけではありません。(ココ重要!)
年金定期便に記載されている「これまでの保険料納付額(被保険者分)」は、自己負担分のみであり、会社負担分は含まれていません。これは、将来受け取る年金額が実際よりも多く見えるようにするための、一種のトリックと言えるかもしれません。
健康保険も同様です。
私たちの支払った保険料の多くは、
高齢者の医療費を支援するための
「前期高齢者納付金」や「後期高齢者納付金」として国に徴収されています。
2024年の健康保険組合の予算では、
これらの高齢者拠出金が3兆8772億円にも
達しており、保険料収入の43.8%を占めています。
つまり、実は、私たちが支払う保険料の約半分近くが、高齢者の医療費に充てられているのです。
4.サラリーマンへの具体的な影響
これらのステルス増税は、サラリーマンの生活に様々な影響を与えています。
・手取りの実質的な減少:給与が上がっても、社会保険料の増加によって手取りが思うように増えない。
・将来の年金受給額との不均衡:これまで支払った保険料に見合うだけの年金を将来受け取れるのか不透明。
・隠れた負担の増加:「会社負担」とされている部分も、実際には私たちが受け取るべき給与の一部。(会社にとっては人件費)
5.今、私たちにできることは?
このステルス増税に対して、サラリーマンができることは限られています。しかし、現状を理解し、対策を講じることは重要です。
そして、選挙で意思表示することが最も重要な行動かもしれません。
➡給与明細や源泉徴収票をしっかり確認する:社会保険料の金額がどのように変動しているのか定期的に確認。
➡長期的な家計計画を立てる:社会保険料の増加を見越した上で、将来の資金計画を立てる。
➡公的年金だけに頼らない:老後の資金準備について早いうちから準備。
6.感想
社会保険制度は、私たちの大切なセーフティネットです。しかし、制度の現状を理解し、変化に目を向けなければ、将来思わぬ不利益を被ります。
源泉徴収票をまともに見たこともないサラリーマンが多い現状では、今後も搾取され続けることでしょう。一番摂りやすいところから摂るのが、政治家やお役所のお仕事ですから。あと、15年程度はこの状態が続くと思います。
そうやって、これからの時代を生き抜くことです
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